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北上、北上、美ら海水族館へ。沖縄五日目 [遊ぶ]

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鯨との出会いから一夜が明けると、
腑抜けとなった猿は一匹、ホテルの窓から眺める、青いバナナに黄昏ていた。

数週間経ってこの丘の木のバナナが食べごろの色になった頃に、
もう沖縄にはいないんだ、と。

朝焼けの空に猿の乾いた雄たけびが吸い込まれ溶けていく。
空からのお返しはたっぷり浴びた太陽が刻んだ、ヒリヒリと焼けた耳のむずがゆさ。

気づけば悲しみを振り払うように、最後の一日を、沖縄を、
北へ北へと激走していた。太陽から逃げるように、東から西へ、西から東へと、
太陽と時間の陰を縫って一刻でも長くとどまろうと必死な車。

一本しか通らない高速道路の果ての先に、水族館があるのだが。
かなりの距離があるため、限りある残された時間のギリギリまでをも振り絞って、
たどり着くべきか、予定には迷いがあった。

ただなんとなく旅の終焉への悲しみを振り払うには北上するのは合っていた。

いざ、美ら海水族館へ馳せ参ず。

行くと決まれば水族館、現地でチケットを購入するよりも事前にコンビニや
高速のサービスエリアなどでチケットを用意したほうが割引されていて
リーズナブルである。

水族館に近づきすぎると割引チケット販売もなくなるのでは?と、
焦って高速のサービスエリアで購入したが、実際は、高速を下りたあと、
西海岸沿いにある道の駅が最安値だった。

道の駅で最安値に、
焦らずいけば色々あるもんだ、とむーちーをほおばりながら反省すると、
狭まった視野で見えてなかった沖縄の情景が見えてくる。

道の駅には沖縄産のフルーツ、野菜が並ぶ。
見たことも食べたことも無いようなフルーツもあれば、
車の窓からあちこちに生っていたオレンジ色に健康的に日焼けした
たんかんの山積みが太陽のような笑い顔で弾けていると、
今がまだ2月だということを完璧に忘れてしまう。

北へ向かうにつれ、自然は豊かになり、
海も美しさを増していく。道の駅のフルーツたちも沖縄の自然の恵みの奥深さ。

美ら海水族館はそんな自然の中にあって、どでかいマンタにジンベエザメが
出迎えるスケールのでかい水族館だ。

だが、平日でも多くの観光客やデート客、さらには観光客の中でもツアーや修学旅行の
結構洒落にならない規模の団体でごったがえしてるのが残念である。

水族館はマンタやジンベエザメのいる黒潮コーナーだけでなく、
沖縄らしくさんご礁とさんご礁のまわりに住む魚達の展示が多く、
浅瀬から深海まで、小さな身近な生物から見たことの無い生物までくまなく紹介されている。

久しぶりの人混みにまみれたこともあるし、予定時間に限りのあることもあって、
少し足早の見学ではあったが、それでもなかなかのボリュームだった。


(つづく)
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