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ヤフーの先行無料配信『鈍獣』鑑賞! [当たる]

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試写会もネット配信で自宅で会社で、
ネットにつながるPCさえあればどこででも、鑑賞することが出来る時代だなんて、
写真一枚の表示に数分かかった時代の人間には便利すぎて
涙があふれそうである。

あ、涙があふれる間もなく、映像が再生されている。
本当に便利な時代だ。

『鈍獣』

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クドカン脚本の新人(細野ひで晃)監督が撮った公開前の作品。

映画の世界も時代を反映しているのか、
色彩や表現、音楽、スピード感には最近よくみられる風潮があるように思う。

新人監督の撮った『鈍獣』においてもそれは顕著で、
アニメが挿入されていたり現実離れしたセットが組まれていたり、
人間の目にはそうは見えまいという鮮やかな色彩の空や山、光。
劇画調なつくりである。

個人的にはそういったプロモーションビデオ的なつくりは好きであるし、
フルハイビジョンでね、と思わせる金銭感覚も力がこもっていて見応えがある。

物語はそういった洗練された映像技術とは反するように、
レトロ臭さ、田舎臭さ、胡散臭さを漂わせながら進行していく。

それは誰かの夢の中で作られた、昔々の記憶が呼び起こした
少し痛く、切なく、けれど前向きに痛みを振り払おうとしてもがいている夢のようにも思える。

過去の記憶は曖昧になっており所々が胡散臭く、古臭く、
それが苦い記憶ならまがまがしい悪夢が繰り返されているのかもしれない。

けれど過去の記憶には甘酸っぱく懐かしい匂いや
レトロで田舎臭い昔の情景に、温もりや純粋な気持ちも思い起こす事もある。

同じ記憶や傷を共有していながらも、
過ぎた時間の中でそれぞれの立場が変わろうが、
過ぎた時間を巻き戻せば変らぬ過去、変らぬ繋がりが途切れることなく連鎖し、
連鎖を繰り返し今に至っていると気づく。

決して壊れることのない同じ過去という鎖で繋がっている。

その鎖が重くて苦しくて、
一歩一歩が重くて重くてなかなか前へと進めない獣達の動きは
とても鈍く遅く、痛々しい。

毎朝目が覚めれば過ぎた分だけ時間が巻き戻り、
常に一点の過去へと逆戻りしてしまうから。

けれどその日のその少年が、もっと重くて硬い鉄の塊へと、
がむしゃらに突進したように、前へと突き動かなければいけないんだ。

鈍獣たちよ、鎖を振り払え。
酒を浴び毒を食らい、傷つけ合うことがその方法だとしても。

『この鉄橋を渡りきったらウルフって呼んでやるよ』

時間の止まってしまった橋の真ん中、
何度となく逆戻りして動かない橋の真ん中で足がすくむ。

もう一度踏み出した一歩一歩は鈍くて痛くて、
傷だらけでやってられんと叫びたくなった。

『鈍獣』橋を渡りきるか?
映画館で確かめてみてもいいと思う作品。

試写会で見れてラッキーだった。

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コメント 2

むちゃ

またおもしろい作品が当たるといいですね!
今日、やってみたけど、
外れちゃいました(^ー^;)
by むちゃ (2009-05-26 12:11) 

デリア

むちゃ様→
 動画など見るとブロードバンドってやっぱり
 すごいなって思いますね。
 ヤフーは色々やっててすごいですよね~
by デリア (2009-06-21 00:48) 

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