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続・沖縄五日目 太陽にほえろ! [遊ぶ]

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ジンベエザメの甚(ジン)さんが目を細めて捜査員たちに語りかける。

ガイシャはサバのサバンサ。
今朝、何者かによって誘拐された。

現場は黒潮の海、現場付近の聞き込みからまずはじめてくれ・・・

俺たちが絶対助けるんだ。

駆け出しの新米デカ、マン太は瞳を熱くたぎらせ、でかい身体を包む、
大きなマントを翻しながら水槽内を回遊する。

その一直線な情熱を静止するような、
静かで穏やかな笑みを浮かべながらキハダマグロのクロさんは聞き込みを続ける。

闇雲に走ってちゃあだめだ、走り続けなきゃ死んじまうってのは、
俺が若い頃の話よ。

細い糸を大切につむぐように遺された証拠資料、目撃情報を元に
犯人像に迫っていくクロさんの推理力・洞察力は捜査課のほかの誰にも真似できない。

クロさんの近くに犯人ありとまで言われている。
彼は一筋の額の汗さえ見逃さない。

マン太は魚一倍不器用で、魚一倍正義感が強く、
それゆえに暴走気味である。
クロさんは自分の持てる経験全てを最後はマン太に託したいと心に秘めていた。

世界最大のアクリル板ごしに捜査の進行具合を眺める甚さんは
カスミアジのカスミから手馴れた手つきで熱いお茶を
受け取ると、一気に飲み干した。
一気に飲み干すときは捜査が順調な証拠である。

若いマン太の成長を嬉しく思いつつも、
事件を心底憎む甚さんの額には四六時中深いしわが刻まれている。
ゴーヤサンドをほおばってるときも其の表情はかわらない。

アクリル板ごしに捜査員の無事と事件の解決を見守り続けている。


・・・美ら海水族館を抜け、太陽の沈む方向へ車を走らせる。
太陽が水平線に近づくにつれ、顔がひりつく。

世界が黄金色に染まる頃、北には無いのに何故か北谷という地名が
ミステリーなアメリカンビレッジで沖Tを物色した。

しかし新たな証拠となる物は発見されない。
サバンサの行方はいまだ知れない。

店を出るとすぐ傍のサンセットビーチで文字通り沈み行く太陽に、
思い切りほえるつもりだったが、
予定外に時間のかかったシャツの物色であたりは既に真っ暗になっていた。

・・・太陽にほえれない。

ライトアップされた小さな観覧車。
観覧車にほえても物悲しい。ホテルコスタビスタへ車を走らせる。

コスタビスタのディナービュッフェを訪れると、
毎日利用していたモーニングビュッフェと比較しても
料理のバリエーションが豊かでなかなか新鮮である。

そこでまさかの、変わり果てたサバンサの姿に出くわす。

ああ、焼きサバ。涙で塩しょっぱいサバ。

こうして事件は終幕した・・・。
犯人は・・


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