道尾秀介著『向日葵の咲かない夏』を、夏が来る前に。 [寝る]
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なぜ?
『向日葵の咲かない夏』という本が
トイレに放り投げられていた。
トイレの中、スリッパでさえ仲良く並んでいる我が家で、
無造作に置かれた文庫本はそのことそのものがサスペンスがかっていた。
だから拾い上げて中身を読み始めるのにそう時間はかからなかった。
これが図書館や書店で整然と並べられている本の一部であったら、
読みはじめることもなかったのだ。
『非日常』とは恐ろしい魔力を秘めている。
そして読み始めた小説もまた非日常を秘めていた。
緩やかにけれど確実な中毒性を持った炭酸飲料を
いつしか手離せなくなってしまったように、
その小説をエンディングだけをむさぼり求めるように読み進めた。
いつしかトイレの中から出ても本は手放せなくなっていた。
手短に言うなら映画『ユージュアル・サスペクツ』と
ゲーム『弟切草』を同時に楽しめる小説。
『騙されるな』
ユージュアル・サスペクツのキャッチコピー。
鑑賞者は一遍の映像と、巧みに練り上げられた話術によって、
事件の真実をめぐって終始翻弄させられる。
『向日葵の咲かない夏』のトリッキーな展開は
むしろタランティーノの『フロム・ダスク・ティルドーン』のように、
1本の作品の中にクライムアクションとホラーアクションが弾けあっている感じにも近い。
少々言い訳がましくもあり、まどろっこしさのある終盤の閉塞感には
多少不快感が付きまとうが。
どうなるのか気になって読み進めていた手が、
『やられた。。。』と完全に思考とともに停止する瞬間。
その瞬間が実に面白い。
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なぜ?
『向日葵の咲かない夏』という本が
トイレに放り投げられていた。
トイレの中、スリッパでさえ仲良く並んでいる我が家で、
無造作に置かれた文庫本はそのことそのものがサスペンスがかっていた。
だから拾い上げて中身を読み始めるのにそう時間はかからなかった。
これが図書館や書店で整然と並べられている本の一部であったら、
読みはじめることもなかったのだ。
『非日常』とは恐ろしい魔力を秘めている。
そして読み始めた小説もまた非日常を秘めていた。
緩やかにけれど確実な中毒性を持った炭酸飲料を
いつしか手離せなくなってしまったように、
その小説をエンディングだけをむさぼり求めるように読み進めた。
いつしかトイレの中から出ても本は手放せなくなっていた。
手短に言うなら映画『ユージュアル・サスペクツ』と
ゲーム『弟切草』を同時に楽しめる小説。
『騙されるな』
ユージュアル・サスペクツのキャッチコピー。
鑑賞者は一遍の映像と、巧みに練り上げられた話術によって、
事件の真実をめぐって終始翻弄させられる。
『向日葵の咲かない夏』のトリッキーな展開は
むしろタランティーノの『フロム・ダスク・ティルドーン』のように、
1本の作品の中にクライムアクションとホラーアクションが弾けあっている感じにも近い。
少々言い訳がましくもあり、まどろっこしさのある終盤の閉塞感には
多少不快感が付きまとうが。
どうなるのか気になって読み進めていた手が、
『やられた。。。』と完全に思考とともに停止する瞬間。
その瞬間が実に面白い。
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